まさかの普通次男


「お前に渡したいものがある。後で俺の部屋に来てくれ」
僅かに恥じらいを込めてそう口にした幼馴染を思い返しながら、ヨザックは彼が自分に渡したいものとは何だろうかと考えながら先ほど付き合い始めたばかりの恋人の部屋に向かう。
「君達付き合っちゃいなよ」
そんな猊下の他愛ない一言でいつの間にか付き合う事になったのはつい数時間前の事。普段だったら酒とか何か珍しいものが手に入ったとかそんな理由だろうが、なにせ自分たちは今日から恋人同士なのだという事、そして彼のいつもと違う表情を考え合わせると。
「ヨザ、俺の操を貰ってくれ」
……そんな展開だったらどうしようか。
いや、恋人同士なんだからありえない事ではない。いやしかし彼とそんな事をするなんて考えた事も無い。
「……あ…ヨザ」
彼に色っぽい声で呼ばれた日にはどうしたら……。
悪くない。むしろいいかもしれない。
想像しながらだんだんと足取りが速くなる。
「隊長、お待たせしました」
勢いよく幼馴染の部屋の扉を開けると、そこにはいつも通りのコンラッドが一冊のノートを持ってヨザックを待っていた。
「ヨザ、これをお前に渡したかったんだ」
そしてそっとそのノートをヨザックの手に持たせる。
「……これは?」
表紙に書かれた文字は、どう読んでも間違いなく『交換ノート』。
「俺たちは付き合っているんだろう? ならこうしてお互いを分かり合う所から始めなくては」
「……お互いを分かり合うにはもうちょっと別の方法使いませんかね、隊長」
「彼女との交換ノートがやはり一番だろう」
「え、オレが彼女なんですか!?」
「違うのか?」
「……あ、いや、別に構わないですけど、もしかして隊長の用ってそれだけですか?」
「他に何か?」
おおっと。
「さて、俺は明日も早いからそろそろ寝るぞ。お前も早く帰って寝たらどうだ」
「……オレは自分の部屋で寝るんですよね?」
「他にどこで寝るんだ?」
「…そうですね、そうですよね」
色々考えてしまった自分が物凄くアホらしくなってきた。
言われた通り退室して渡された日記を開いてみると、一頁目にはきちんと彼の丁寧な字で日記が綴られている。彼の日記など読むのは初めてで、多少期待しながら簡潔に書かれた今日の彼の思いに目を通す。それはただ一言。


「今日もユーリは可愛かった。」


……オレこいつと付き合って楽しいのかな。
一瞬そんな疑問が頭をよぎらない訳ではなかったが、ついヨザックはその日記を抱えて笑ってしまう。なんて彼らしい。そして考える。
さぁて、グリ江はなんて書こうかしら♪



END

2007.07.23

瀬高さんにメルで頂きましたーvvvv
先日遊んで頂きましたときに出した「まさかの普通次男」という発言を
何故か大変お気に召されたらしく…(笑)
これですわ、貰っちまいました!!!!普通次男ツボ過ぎますよぉおおおお!!!
あああ家宝家宝…!!ホントありがとうございました!!!!
予想外メールをしつこく送り瀬高さんのサイトに吉田部屋を作れるように頑張ります!迷惑)