シーツ


 いくらそういう記憶があっても、いざ自分の身に降りかかると驚く。
夢見心地で軽いキスを受け止めていた村田は口内に侵入してきた舌に
大いに驚いた。女の子と付き合ったことがないわけではない。
故にそんな展開になったことがないわけでもない。
だが、自分がいただかれる側に回ったのは初めてだ。
それに自分達はまだその段階ではないと思う。
眞魔国の性の発展が知らない間に随分なことになってしまったのか。
それは分からないが、地球育ちの村田少年はあまりに急な相手に
とにかく驚いたのだ。
ぐっと大胸筋の素晴らしい胸に手を当てて押し返そうとするが
もやしっ子ダイケンジャー対筋肉隆々のお庭番では歯が立たない。
逃げる舌を追いかけてくる相手の息遣いは荒く、手は忙しなく
自分の背中などを撫で回している。

「ちょ…っやめ…うわぁ!」
息継ぎの間の抗議は視界が回ったことで虚空に消え去り
ギシッとベッドと自分の上に乗り上げたかなり年上の恋人の存在で
思考さえもストップした。

シーツがこんなに冷たいものだとは思わなかった。

2007.01.03

もしかしたら続く。シーツが冷たいのは自分が熱くなっているから。