眠れぬ夜はキミのせい
「帰って来た初日とかさ、なかなか寝付けないんだよな。」
「未処理の仕事とか気になるよねー。」
「いや、ヴォルフが居ないのが。」
「あぁそっち、そうだね。なんか寝付けないのは分かる。」
渋谷も言うようになったもんだ、と思いながら軽く肯定してやると
意外にも相手は眉間に皺を寄せて口を変に引き結んでいた。
「お前のと俺のは違う気がする。」
「なにが?」
「俺のは抱き枕とかそういうので、村田のはそうじゃない。」
「僕だけ不純で尚且つ乙女みたいに言うなよ。スカスカ感で言ったら絶対に僕の方が大きいって。」
と否定しながら、寂しいのは当たり前だろうと心の中で溜息を吐く。
渋谷が本当にフォンビーレフェルト卿を抱き枕として考えていて
そのせいで寝付けないとしたら、むしろその方が嫌だ。
あの枕がないと眠れない、蜂蜜ちゃんの抱き枕が。
どんな野球少年だよ渋谷。
「ぐぐぴが聞こえないからじゃない?無音だと落ち着かないとか。」
それを指摘しても渋谷は頑なに違うと言い張ると思うので僕は適当に理由を与えて
ヨザックが恋しいなぁと割と素直に思った。
2007.09.10
恋愛に関しては村田の方が圧倒的に素直であろうという妄想から。
陛下はヴォルフを抱き枕にするけど猊下はヨザックの抱き枕にされればいい。