きれいに平らげられた皿とテーブルの上に戻された空のワイングラスに、ヨザックは思わず感嘆のため息をつく。
さすがは元プリンス。
そういえば普段あまり目にする事の無いコンラッドの優雅な仕草になんとなく驚いた。
自分と二人で飲むときにわざわざテーブルマナーが要求されるようなめんどうな店になど行ったりしない。
それは彼が自分の事を気が置けない友と思ってくれているからでそれ自体は単純に嬉しいのだが、そのせいで彼のこういう一面を見る機会が余りないのは勿体ない話だと思う。
「……なあ、隊長」
それにしても気になるのは、なぜいきなりこんな高級な店に誘われたのか。
シャンデリアが燦々と輝いていたりピアノの生演奏が聞こえてきたり、まさかこんな所に連れて来られるとは思わず普段の服装で待ち合わせ場所に行ってしまったヨザックは明らかに場違いだ。
「なんだ、ヨザ」
これはおそらく、昼間の約束を実行してくれるつもりなのだと思う。
いつ言ってくれるのか。
「……あ、いや、なんでも」
とはいえ、とりたててねだる程の話でも無い。彼が自分を思ってくれているのはおそらく間違いないのだから。
というか、その言葉を待ってる自分がそろそろちょっと恥ずかしくなってきた。
「ヨザ、これを持って先に行ってろ」
食事を終え立ち上げったコンラッドから何か放られる。受け止めて手の中を見ると、番号の入ったキーホルダー付きの鍵。
コレは……。
まさか。いやしかし。
オレにこの番号の部屋で、あんたを待ってろ……って?
指定された部屋の扉を開けると思った通りとびきり高級そうな雰囲気が漂っていて、それだけで気遅れしてヨザックは思わず一歩後ずさる。
今更だと気合いを入れて部屋に入り、ふかふかのベッドに腰かけてそのまま寝転ぶと、カーテンの開かれた窓から星が光っているのが見えた。
隊長の目みたいにきれいだ。
と、そこまで思って、なんでそこで出てくるのがあの男かなぁとしみじみ溜息をつく。
おそらく、嫌ならそのまま帰ってしまえば彼は無かった事にしてくれるだろう。
なのに、帰れない。
いつの間にこんなに惹かれてしまっていたのだろう。促されるまま、こんな所にのこのこと来てしまう程に。
きっかけなど、どこにも無かった。
カチャリとノブが回されドアが開く。
驚いて跳ね起きると、どうやら向こうの方が驚いているようで僅かに目が丸くなっていた。
「いたのか、ヨザ」
「いたのか、って。随分御挨拶ですね、隊長。あんたがここで待ってろって言ったんでしょーが」
「まぁそうだな」
安心したように柔らかく笑ったコンラッドに思わず胸が熱くなる。
そういえばこちらとて、好きだのなんだのそういう思いをきちんと口にした事は無かったかもしれない。
不安にさせていた、かもしれない。
「隊長、オレ隊長の事すげぇ好きですよ」
「ヨザ……」
一言告げると、ヨザックの座っているベッドまで近づいてきたコンラッドにぎゅっと抱きしめられた。
やっぱりそうだったんだな、と彼を抱きしめ返そうとした瞬間、くるりと視界が動く。
そして真上に幼馴染兼恋人の顔。
いきなりか。
さすがに抵抗してやろうかと思ったのに、目が合った途端にそんな気が失せる。
なんて優しい目で見てくるんだろうか。
「ねぇ隊長」
「なんだ」
「アタシ初めてなの、優しくしてね」
精一杯シナを作って可愛く頼んでみると、
「気を付ける」
至極真面目に頷かれた。
気を付けるって。その返事はちょっと何か違う気がする。
が。
「まぁいいや」
多分あんたのする事ならなんだって受け入れられるくらいに、惚れてしまった自信がオレにはある。
2007.09.11
合宿中に頂いたまさか次男でのコンヨザ連載。
瀬高様の焦らしにもがもがすること数ヶ月。
ようやく!ようやくコンヨザがああああああああああああ!!!!!!!!///
おめでとうヨザック!おめでとう次男!合宿中でお赤飯炊けなくて御免ね!
次男以上にこの作品を美味しく頂きました。ご馳走様でしたぁあ!!
瀬高様の焦らしにもがもがすること数ヶ月。
ようやく!ようやくコンヨザがああああああああああああ!!!!!!!!///
おめでとうヨザック!おめでとう次男!合宿中でお赤飯炊けなくて御免ね!
次男以上にこの作品を美味しく頂きました。ご馳走様でしたぁあ!!